スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
聴こえるvol.10
夕日が風を届ける。
顔を上げる。
街がオレンジで、家の裏にある空はオレンジで、きっと僕の顔も、同じオレンジ。
あれから1ヶ月。
僕は何度も『声』が言ったことを考えてた。
でもいくら考えたって、欲しい答えは見つからない。
直接彼女に会いに行こうかと思った。でもそんな勇気はなくて。
何を聞きたい答えなのか、何が聞きたくない答えなのか。
結局、ここに来れば会えるんじゃないか、なんて考えて、あれから毎日街を見下ろしてる。

前触れも無く会って、突然キコエテ、偶然会って、
そして、会ったのは『はるか』じゃないと『ハルカ』に言われた。
訳が分からない。
僕が何をしたっていうんだよ。
これ以上僕を訳のわからない状況に置かないで。
僕をこうしたのは一体誰なんだよ。
アルビノで、キコエテ、、、、



これ以上僕を孤立させないで。
これ以上僕を、独りにしないで。



しないでよ、、、、。





カサッ

誰かが草を踏みしめる音がして、後ろを振り返る。
「あ・・・」
『はるか』だった。右側にはRB。
突然、世界で一番会いたかったという気持ちと、世界で一番会いたくなかったという気持ちが交差した。
疑問を解けるのは彼女だけのはずだった。
だけど、すべてはこの女の子と犬に会ってからだったから。
この2つの存在に会わなければ、少なくとも僕はアルビノである事だけで済んでいたはずだった。
そう思ってしまったから。

もう一度オレンジ色に染まった街を見る。
後ろの存在に動く気配は無い。
「・・・。ここに座ったら?」
僕は彼女に気付かれないくらいの小さなため息をつき、僕の隣を指差す。
何を聞こうか、何を聞いたらいいのかしばらく考えた後、僕は考えるのを止めた。
最近ずっと考えつくして、正直疲れた。
普通の会話をしよう。そう思った。


雨の日でも座れる場所が欲しくて、自分で森から引っ張ってきた太い丸太の上。
はるかが隣に座る。
RBがその隣で寝そべる。
それを見た女の子が小さく笑う。
あの時の顔だ。僕は思った。
初めてここで会って、「アルビノ?」って僕が聞いたとき笑った、あの笑い方。

『ハルカ』は言ってた。自分は『はるか』の中にいる、『はるかじゃない誰か』だと。
でも僕にはそう思えなかった。
何の勘が働いたのか、なんて知らない。なんとなく、そう思えなかったんだ。
「ねぇ、前、ここで会ったよね?」
ハルカの言うことが分からなければ、もう一人のはるかに聞けばいい。
ふと思った僕はじっと答えを待った。
少しの間僕とRBと街の間を行ったり来たりして視線を泳がせた後、はるかは小さく頷いた。
やっぱり。
あの時会ったのは、はるかだ。
「あの時さ、どうして笑ったの?」
聞くとはるかは不思議そうな顔をした。
「僕が、その犬をアルビノ?って聞いたとき。笑っただろ?」
あぁ、思い出した。という顔で、はるかの顔が少し上がった。
そして肩にかけてたカバンから小さなメモとペンを取り出して何かを書き始めた。
〔なつかしかったの。RBをアルビノ?って言ったから〕
メモを掲げて一度僕に見せてから、また続きを書く。
〔RBが小さいときによく言われてたのを思い出して〕
「へぇ、そうなの?」と僕は呟く。
はるかがRBを撫でる。
頭を上げ、気持ちよさそうに目を細めて、はるかの足に顔を寄せるRB。
「触ってもいい?」
なぜそう思ったのか自分でも驚いたけど、はるかは頷いた。
手を伸ばすと、RBに少し嫌そうな顔をされたと思ったのは、気のせいだろうか。
それでも彼はおとなしく撫でられた。
「柔らかいね」
RBを見ながら言うと、はるかが頷く気配がした。

(RB、君は何を知ってる?)
僕は心の中でそう聞いたけど、RBは知らんぷりだ。
聞きたいことはたくさんあるはずなのに、ありすぎて何を聞きたいのかが、分からない。
「そろそろ帰らなくちゃだめだね」
先月のように、夕日が街に落ちきってしまう前に。
「送って行こうか?」
僕は聞いたけど、はるかは顔を横に振ってから、RBを指差す。
一緒にいれば安心ってことか。

「ねぇ、」
歩き出した彼女の背中に、気付いたら聞いてた。
「君の中に、はるかのなかに、はるかじゃない誰かって、いる?」
驚いた表情をして、はるかの目がまた泳ぐ。
それを見た僕はもっと驚く。
知っている?
もしかしてはるかは、ハルカがいることを知っている?
もしそうだとしたら。
ハルカは、はるかが知っていることを、知っているんだろうか?
その時、僕はもうひとつ、あることに気付いてしまった。


はるかの考えが、キコエナイ・・・・・?


距離が問題というわけではない。
だって、さっきまで隣に座ってた。
今だってほら、手を伸ばせば届く位置にいる。
なら、どうして・・・?
はるかに会って疑問を解くどころか、更に訳が分からなくなった。
思わず眉間にしわが寄る。

知らずに下を向いてた僕の目線の先を遮って、メモが差し出された。
見ると文字がぎっしり。明らかに今書いたものじゃない。
ここに来る前に、書いてきた?
「読んでいいの?」
聞くと、肯定の頷きが帰ってきた。


〔あたしじゃないあたしに、会ったことがある?〕
出だしから直球だった。
〔あなたと会った日から、時々女の子の声が聞こえるの。声が聞こえる時はぼうっとしちゃうんだけど、確かに喋ってるのは分かる。〕
声・・・?
〔あたし、あの子にどこかで会った気がする。友達とかじゃなくて、家族みたいな、姉妹みたいな感じがする。〕
ハルカと会った?
〔あの子、誰だか知ってる?名前とか、何でもいいの。知ってる?〕
名前・・・。僕も知らないんだ、とは言えなかった。
はるかの顔が真剣だったから。
はるかもハルカのことを知りたがってる。僕と同じだ。
「ハルカ」
しかたがないから、僕は女の子の呼び名を言った。
「僕はそう呼んでる」

は・る・か

と、はるかの口が動いた。
そして急に僕の目をまっすぐ見て何かを言いかけて止め、メモを僕の手から急いで取り戻した。
思ったことをそのまま喋れないのがもどかしそうだ。
僕がキコエルんだと言ったら、どう思うだろう。
一瞬そう思って、すぐ思い直した。
キコエルことを、僕は誰にも喋れない。そして、はるかの声はキコエナイ。
目の前にメモを出される。
〔あの子、もしかしてあたし?〕



アタシ?










10
11(yayowitch様あとがき)
【2007/11/07 00:52】 | 『聴こえる』(リレー小説) | コメント(3) | page top↑
<<相手に近付きたいから想いのカケラを探すんだ。 | ホーム | 聴こえるvol.9>>
コメント
や~ん
どきどきしてはらはらして
ぞくぞくしてさいごにずきゅん。

すーってなみだ。

なんかキコエルを動かしてるのは
きっとあたしじゃなくてノワ子だね。
こっからどーしよう・・・アタシ!(笑
【2007/11/07 01:14】 URL | yayowitch #-[ 編集] | page top↑
姐さんにすぐ読んで!といわれ、
まっすぐここに来ました(笑)

ノワノワちゃん!!
どうなるの~~??
はるかって、ハルカ?
ハルカがはるか?
キャ~~~!
わかんなくなってきた~~~!?

でも。。。
RBは、RBだよね・・・?

ポチ♥
【2007/11/07 09:07】 URL | eve #SkXpy6zc[ 編集] | page top↑
>あぁ素敵なおねーさま方。
>?(0◇0)!!

そんな・・・。
なみだ。
なみだ?!
本当ですか、それは。
もし本気涙なら、姐さんは私の文字で涙してくださった人第一任者(?)です!!!!
どうしよう!!!!!(軽パニック


や、なんか、ホント、
そんな風に言って頂けるモノでしたか?
次から次へと話が飛んでしまって、お恥ずかしい限りなのですガ(汗
でも嬉しいです。ありがとうございます(*´`)っっ
そんなに気分を変えれるような文字が少しでも書けたのなら幸福デス!!

私じゃないデスー!!
こんな風に歩けるのは、姐さんの話があってこそなのですね!
ありがとうございます♪









>(`・ω・´)

んま!
おいでませキョート。(違

おいでませキレハシノート!の!聴こえる!

そんなこっぱずかしい(照

姉さんみたいに一喜一憂してもらえると
書こう!という気になるのですよ♪
いつもやる気をありがとうです!!

RBは・・・
姐さんの出方次第・・・?(笑
実は私はもう決めてるんですよ。
でも思い通りにならないのが、リレーの面白いところなのです。(笑
【2007/11/08 23:58】 URL | チエノワ #z0Dn2JLk[ 編集] | page top↑
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。